漢方薬は「体にやさしいお薬」という印象がありませんか。
咳や痰などに悩まされる気管支炎は、つらいものです。特にお年寄りの場合、夜になって寝るときに咳が出てとまらなくなるということがあります。そのような場合、漢方薬が効果を発揮することがあります。お年寄りに限らず、かぜを引くと、熱や関節の痛みなどの他の症状は消えても、咳や痰はなかなか止まらないということがよくありますが、このような場合にも、漢方薬によって症状が改善することがあります。
漢方薬は、通常、食前や食間に飲みます。しかし、咳が夜や明け方にひどくなるという場合は、就寝前に飲むと効果があるといわれます。
咳には、痰を伴う場合と、痰を伴わない乾いた咳があります。水様の痰を伴うような咳には、「ショウセイリュウソウ」などの漢方薬が有効とされます。この漢方薬には、気管粘膜の過剰な水分を取り除く作用があるからです。
一方、痰を伴わない乾いた咳の場合は、「バクモンドウトウ」や「ジインコウカトウ」といった薬を用います。気道粘膜に湿り気を与える作用のある漢方薬です。
また、お子さんで発作性の咳が出る場合がありますが、そのようなお子さんには、「ゴコトウ」が用いられます。一方、比較的体力がないお年寄りには、「ジインコウカトウ」を、さらに妊婦の方には、「バクモンドウトウ」を用いることが多いです。
ただし、漢方薬は、西洋薬と異なり、病名や症状だけから適切な処方を選択することは出来ません。病気の人それぞれの「証」といって、体質、体力、抵抗力、病気の進行具合などを総合的な判断して用いる漢方薬を決定するのです。証の判断は、漢方医学の専門家にゆだねるのが理想的です。ここで示した漢方薬は、あくまでもおおよその目安と考えてください。
「釣藤散(ちょうとうさん)」は、体力は比較的ある人で、動脈硬化、神経症、更年期障害からくる頭痛に悩んでおられる方によく処方され、しばしばお年よりに見られるような、のぼせや肩こり、耳鳴りなどを伴うような、朝の起床時の頭痛などには、効果を発揮する漢方薬です。
「七物降下湯(しちもつこうかとう)」は、体力が低下ぎみの高血圧症に用いられる薬ですが、頭痛も用いられます。ただしこれらは胃腸が強い人むきであり、胃腸が弱い方への処方は避けられます。特に、七物降下湯は、胃腸が弱い人に用いると、胃腸障害や下痢を引き起こす要因になります。
したがって、胃腸が弱い人の頭痛に対しては、七物降下湯の代わりに「桂枝人参湯(けいしにんじんとう)」、あるは「半夏白じゅつ天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」を処方します。これならば、胃腸障害がある方の頭痛に有効です。
また、「葛根湯(かっこんとう)」は、風邪薬として知られていりますが、配合されている成分のなかで「葛根湯(かっこん)」や、「麻黄(まおう)」、「桂枝(けいし)」、「芍薬(しゃくやく)」に、筋弛緩作用や血管拡張作用があることから、頭痛にも有効とされます。
ただし、漢方薬は、西洋薬と異なり、病名や症状だけから適切な処方を選択することは出来ません。病気の人それぞれの「証」といって、体質、体力、抵抗力、病気の進行具合などを総合的な判断して用いる漢方薬を決定するのです。証の判断は、漢方医学の専門家にゆだねるのが理想的です。ここで示した漢方薬は、あくまでもおおよその目安と考えてください。
ひとくちに神経痛といっても、その原因や症状、また痛みが起こる部位は、さまざまです。
概して神経痛は、神経の圧迫や炎症、虚血によって生じるといわれます。しかし、糖尿病や癌、椎間板ヘルニアといったほかの病気が原因でおこるものもありますので、専門の医師の診断を受けてから、西洋医学で治療するのか、あるいは漢方医学で、漢方薬を用いて治療するのかを決定する必要があります。
神経痛全般に効く漢方薬としては、「ケイシブリョウガン」「トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ」、「マオウブシサイシントウ」、「シャクヤクカンゾウブシトウ」などが用いられます。
■「ケイシブリョウガン」・・・体力は標準で、下腹が硬く張っており、血が滞っている(お血)場合に、用いられます。
■「トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ」・・・手足に冷えがある場合にもちいます。
■「マオウブシサイシントウ」・・・全身の倦怠感が強い陰証の人に処方します。
■「シャクヤクカンゾウブシトウ」・・・筋肉の引きつり感を伴う発作性の痛みに降下があります。
また、「ゴレイサン」は、三叉神経痛に対して用いられる薬ですが、口が渇く、尿の量や回数が少ない、といった、いわゆる水分代謝の異常(水毒)に対して効果が期待されるもので、三叉神経痛の場合、必ずしもこのような症状が出るとは限りませんので、三叉神経痛には、漢方薬の効果はあまり期待しないほうが無難かもしれません。
漢方薬は万能ではありませんし、西洋医学のほうが効果が期待できる場合などもありということをおぼえていてください。
漢方医学では、気・血・水の異常としてめまいを考えます。
なかでも水の異常に深くかかわっているとされ、水分代謝の異常に効果があるとされる「ジュツ」、「ブクリョウ」を配合した処方が多いです。
たとえば、「シンブトウ」は、体力が弱っており、動悸やめまいがある場合に用いられます。腹部に力がなく、みぞおちを叩くと水気を帯びたようなピシャピシャという音がする場合です。
一方、口が渇く、尿の量や回数が少ない、むくみがあるという場合には、「ゴレイサン」「サイレイトウ」といった漢方薬が処方されます。これらは水分を排出する作用(利尿作用)があります。
これらは、低血圧症や自律神経失調症、更年期障害、メニュエール病といった疾患からくるめまいに用いられます。
めまいというのは、周囲が回転する、フラフラする、目の前が真っ暗になるといった異常な感覚をいい、運動感覚や位置感覚の異常が原因とされます。ただし、重大な疾患が原因のめまいもありますから、漢方薬による治療を始める前に、まずはそれらの疾患がないかどうか、西洋医学の医師(内科や耳鼻咽喉科)の診察をお受けすることをお勧めします。
漢方薬は、西洋薬と異なり、病名や症状だけから適切な処方を選択することは出来ません。病気の人それぞれの「証」といって、体質、体力、抵抗力、病気の進行具合などを総合的な判断して用いる漢方薬を決定するのです。証の判断は、漢方医学の専門家にゆだねるのが理想的です。ここで示した漢方薬は、あくまでもおおよその目安と考えてください。
成人の糖尿病は、すい臓から出るインスリンの分泌量が減り、血液中の糖分が正常に分解されないために体内に取り込まれずに、血液中に残ってしまう病気です。そのために尿とともに排泄されることから、検尿で尿糖が出ると糖尿病が疑われるのです。
糖尿病になると、毎日インスリンが必要となる人、食事療法で病気の進行を抑える人、など、治療法、対策はさまざまです。漢方薬による治療では、血糖値を下げるなどの、糖尿病の完治、根治は望めませんが、自覚症状を和らげるのには多くの効果が期待されます。
疲労感や全身の倦怠感、喉の渇き、頻尿、食欲不振、などの症状が、漢方薬によって軽減されることが多いです。
糖尿病に対しては、具体的には、「サイコケイシカンキョウトウ」が用いられます。この薬は、サイコ剤であることから肝臓機能に障害がある人向きです。痩せ型で顔色がすぐれず、疲労感が強い人、おなか全体にしまりがなく、上腹部に軽く痛みがある人、腹部大動脈の拍動が強い、といった症状をもつ人に対して用いられます。
一方、体力は充実していて、喉の渇きが激しい人、冷たい水や飲み物をほしがる人の場合は、「ビャッコカニンジントウ」が処方されます。
また体力が充実していて、便秘がちな人、固太りの人に処方されるのは、「ボウフウツウショウサン」です。水太りの人には向きません。動悸や肩こり、のぼせなどの高血圧にともなう諸症状に有効な漢方薬です。